自由診療について

まず治療関係費ですが、よくあるのが病院から交通事故では健康保険とは使えませんと言われる場合があります。被害者の方も病院から言われると「ああそうなのか。」と考えてしまい、「じゃあしょうがないですね。自由診療でお願いします。」と言ってしまう場合もあります。 一方で、最初は保険会社が治療費は全部支払いますと言われていたが、3ヶ月や6ヶ月経過した時点で健康保険に切り替えてもらいもらいたいという申出があることがあり、この場合はどうしたらいいのかと、困られる被害者の方がいらっしゃいます。しかし、交通事故で自由診療しかできないということはなく間違っていますので、堂々と健康保険を使いますと言って頂いて構いません。

簡単に説明すると、健康保険や労災保険も含めまして診療報酬というのが厚生労働省で決まっていて、それは単価が健康保険は1点10円、労災保険は1点12円と決まっていて、例えば手術をすれば何百点とかそういう形で病院に対して健康保険組合から支払える基準というのは決まっています。

しかしながら、自由診療になると同じ治療をしても、例えば一点単価は病院が自由に決めることができます。すると、ある病院においては自由診療では1点20円という換算をして請求する場合があります。すなわち、病院側としては自由診療の方が同じ治療をしても収入が増えるという実態があり、病院側としては、交通事故は自由診療と自動的に被害者の方に対して説明をしてしまう場合があります。

しかし、本来自由診療というのは、先進的な治療であるとか、特別なその医師独自の治療をして良い結果が出ているからという理由で認められるものであり、交通事故の場合に、例えば骨が折れたとしてもそのまま固定して保存治療して治癒する場合、一般的な外科手術が必要だった場合などは、自由診療として治療費を請求すると病院が請求した診療費用が高すぎるという場合もあります。
このような場合に最終的に訴訟になった際には、裁判所が一点単価例えば15円程度が相当という形で病院の主張を退けることもあり、前述したように、交通事故で自由診療しかできないというなく間違っています。

自由診療の場合には支払側が支払う費用を多くなりますから、健康保険に切り替えてもらって単価を低くした方が、被害者に有利になる場合があります。例えば、自賠責保険は強制保険ですが、傷害の損害については120万円が限度になっています。例えば、治療費であるとや休業損害については、120万円以上は自賠責は支払いません。この場合、もちろんそれを超えた時には、自動車保険加害者側が自動車保険に入っていれば、任意保険会社が120万円を上回った部分を支払います。しかし、例えばあまり大きな事故ではない後遺障害が出るかどうかわからないような場合で、双方に過失があるような場合に、自由診療で治療費を計算すると、120万円全額が病院の治療費として支払われてしまって、被害者の手元には1円も入らないということが十分にあります。
これに対して、例えば健康保険を使っていますと、単純に言えば治療費が半分になることもあるわけですから、治療費が60万円で治った場合、残りの60万円の枠で被害者の方が休業損害を得られるとか慰謝料を得られるとか自賠償保険だけでも被害者にとって有利になる場合があります。

ですので、非常に大きな事故の場合にはあまり問題にならず、任意保険会社が支払うかどうかという問題なりますが、比較的少額の事故の場合にはむしろ切り替えた方が有利になる場合があります。

任意保険とか共済が支払う場合でも、トータルの支払額を考えますので、支払い側としては治療費を病院により多く支払うよりは被害者に払った方がいいと考える場合もあり、そういう観点から健康保険や国民を機に切り替えて欲しいという場合があります。
基本的には、治療については自由診療でも保険診療でも医師の治療は変わらないのが実態のはずですから、被害者の手元に入ってくるお金をある程度有利にするという展開考えれば早めに健康保険に切り替えておくということは、十分に意味があるということだと思います。